新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するサノフィの取り組み②

公開日:2020年5月20日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に蔓延を続けるなか、サノフィは様々な取り組みの最前線に立ち、患者さんのために医薬品を製造し、お届けするという、必要不可欠な活動を継続しています。サノフィは、既存医薬品のうちの2品目についてCOVID-19治療薬としての可能性を検討しているほか、これまでのワクチン開発の技術の経験を活かしたCOVID-19ワクチンの開発を進め、パンデミックへの即時と長期対策の実現に向け活動しています。新型コロナウイルス感染症のような深刻なパンデミックに対処するには、様々な団体が連携し、可能な限り多くの方法を模索する活動が必要であり、サノフィはこの一翼を担っています。

自己検査ソリューションの開発

新型コロナウイルス感染症に対するサノフィの最新の取り組みは、米国カリフォルニアに拠点をおくスタートアップ企業Luminostics社との連携で進めている一般用(OTC)検査薬として使用可能な自己検査ソリューションの開発です。世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス危機の早い段階から、感染拡大を抑えるには信頼性の高い迅速な検査が必要であることを指摘してきましたが、現時点でも検査を広く行うことができておらず、自宅で行える検査キットもありません。

サノフィは、医療従事者や臨床検査室を必要としない、スマートフォンを使って自宅で行える検査を提供することで、検査に関わる人々のウイルス感染リスクを下げることを目標としています。

この検査は、サノフィが臨床研究で培ってきた検査の経験と、Luminostics社のスマートフォンのカメラ機能を活用する独自技術を組み合わせたもので、呼吸器から採取する検体を用いて30分以内に新型コロナウイルスを検出するよう設計されています。iOS/アンドロイドアプリで試料の採取と処理を説明し、検査結果の表示を行い、必要に応じて遠隔医療サービスへの接続を行います。

2020年内には自己検査ソリューションの準備を整え、サノフィのグローバル供給ネットワークを活用して全世界での販売を目指します。

さらなる治療選択肢の探索

サノフィは、自社の医薬品のうち2品目について、新型コロナウイルス感染症における効果を検討する臨床試験を支援しています。このうちの1つは、イタリア、スペイン、ドイツ、フランス、カナダ、ロシア、イスラエルおよび日本において重症患者に対する効果を評価する試験を行っており、Regeneron社が米国の患者を対象とした臨床試験を行っています。

2品目は、世界保健機関(WHO)が国際臨床試験で新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として検討中の複数の薬剤のうちの1つです。この試験を支援するため、サノフィは2件の臨床試験を開始したほか、試験参加施設の一部や、独立した研究を行う施設に薬剤を提供しています。

これと並行して、サノフィの生産部門は、これら薬剤の在庫管理と生産拡大により、既存の適応症でこれら薬剤をお使いの患者さんへの供給を維持しつつ、新型コロナウイルス感染症の患者さんに対し、安全性と有効性が立証された場合の供給を確保すべく準備を進めています。

ワクチン開発の経験を活用

サノフィにてワクチンを手掛けるグローバルビジネスユニットであるサノフィパスツールは、安全で有効なワクチンを一刻も早く開発するため、様々な連携活動を展開し、各種の革新的アプローチを模索しています。最近では、COVID-19に対するアジュバント添加ワクチンの開発を目指し、グラクソ・スミスクライン(GSK)との連携を開始しました。

この共同開発において、サノフィは遺伝子組換えDNA技術をベースとするS-タンパク質COVID-19抗原(ウイルスに対する人体の免疫応答を引き起こすタンパク質)を提供します。このワクチンの米国での開発は、米国生物医学先端研究開発局(BARDA)の協力の下で、同局の資金提供を受けて実施されています。

サノフィのワクチン研究開発部門長のジョン・シャイバー(John Shiver)は、次のように述べています。「私たちは、インフルエンザに用いてきた基盤技術を応用して、新型コロナウイルスに対するワクチンの開発を進めています。既存のプラットフォームを用い、パートナーと協働してすすめることで、ワクチン開発を最大限に加速することができます」

GSKはアジュバント技術を提供します。アジュバントとは、免疫応答を高める目的で添加する物質で、1回の接種に必要なワクチン用タンパク質の量が抑えられるため、有効かつ大量生産が可能なワクチンを供給できる可能性を高めることができます。

ワクチン候補は、2020年下半期に第I相臨床試験を開始し、2021年下半期までの実用化を目指しています。

サノフィのポール・ハドソンCEOは、次のように述べています。「世界は未曾有の医療危機に直面しており、1 つの企業が単独で対処することは不可能です。そのため、サノフィは、GSKなどの業界他社と協力し自社の専門知識とリソースを補完することで、このウイルスの拡大を阻止できる十分な数量のワクチンを生産・供給という目標に向けて取り組んでいます」

また、サノフィはCOVID-19ワクチンの開発、設計と製造に向け、他の選択肢も探っています。サノフィは、臨床段階のメッセンジャーRNA(mRNA)医薬品を手がけるTranslate Bio社と協働で、同社のもつmRNAプラットフォームとサノフィのワクチン開発の経験を活かした開発を進めています。
またサノフィは、CEPI (感染症流行対策イノベーション連合)という、対策が必要とWHOが判断した流行病原体に対するワクチンの開発をコーディネイトする組織とも連携して活動しています。また、サノフィは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が製薬企業15社と共に立ち上げた、新型コロナウイルス感染症の治療、ワクチンと検査の開発加速に向けた具体的活動を模索するコンソーシアムの参加企業として活動しています。

サイエンスへの投資

サノフィが最前線で数々の対応を迅速に行えるのには、理由があります。サノフィには、長年にわたりワクチン技術に投資し、SARSワクチンの開発プログラムを進めた経験があります。世界各地の規制当局からもかつてないスピードで協力いただき、通常数ヶ月単位の時間がかかる手続きが数日単位で行われ、臨床試験の開始が可能となりました。

サノフィは各種学会、患者グループや保健当局と連携して、希少疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、糖尿病、がんや多発性硬化症などの様々な疾患をもつ人々に正確な情報やガイダンスをお届けするよう活動しています。

生産の継続と供給継続に向けた取り組み

サノフィの医薬品とワクチンの3分の2は、世界保健機関(WHO)の必須医薬品リストに収載されています。世界の多くの地域が閉鎖されているなか、サノフィの生産拠点のグローバルネットワークは稼働を続け、医薬品とワクチンの供給を継続しています。現時点では新型コロナウイルスの流行による欠品は生じていません。

生産部門のチームはときに休日返上で出勤し、世界各地の政府、保健当局、医療機関、医薬品卸や薬局における医薬品の需要に応じるために働き続けています。 グローバル生産部門担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのフィリップ・リュスカンは、次のように述べています。「私たちはこの闘いの最前線にいます。患者さん、医療従事者と保健当局は、私たちを頼りにしておられます。サノフィの製品のほとんどは、世界中の数百万人の方々にとって不可欠です。この危機の間も必要な医薬品を確実にお届けし、状況が正常に戻った時点での欠品を最小限にとどめる必要があります」

臨床試験の継続

新型コロナウイルスに関する臨床試験を迅速に開始する一方で、サノフィは、その他の疾患に対する治療薬候補について現在実施中の臨床試験について、国別、試験別、試験責任医師別の評価を行っています。サノフィの最高医学責任者(CMO)でグローバル開発ヘッドのディートマー・ベルガーは、次のように述べています。「私たちのアプローチは多様でなければなりません。患者さんとそのニーズを最優先し、医療現場で働く方々の安全を確保しつつ、革新的医薬品の開発を進めていきたいと考えています」

「現在実施中の約300件の臨床試験のうち、60%は参加者を登録中の試験で、サノフィは現在、試験用薬剤の供給の維持と確実な配布を最優先とした取り組みを行っています。また、患者さんに直接試験薬をお届けするサービスも、ケースバイケースで活用しています。 中国では2月にこの取り組みを実施し、遠隔医療システムで患者さんのモニタリングを行い、90%以上の臨床試験を継続することができました」

「この難しい時期も、皆の努力と連携で、私たちの企業としての真の目的に向けて前進しています。皆が患者さんのために革新的なソリューションを考案し、画期的な新薬をできる限り速やかに患者さんにお届けするために活動しています」

#Sanofi Acts

各人の行動が、ウイルスの拡散スピードを下げ、新規感染者の上昇カーブを抑え、患者さんの治療のために世界各地で活躍し提出る医療従事者を支援することにつながります。サノフィが展開中のパンデミック対策は全て、従業員が支えています。

私たちの従業員のうち、医学教育を受けた従業員達は、医療の最前線の人々を支援したり重症例の治療にあたるボランティア活動に参加したり、支援者リストに登録し、限界に近づきつつある医療システムの支援にあたっています。これらの活動は、従業員の健康と安全を守るために必要な全ての手順を経て行われています。同様の安全策は、自宅待機が求められている地域において生産拠点や流通センターで勤務する従業員や、新たなソリューションを患者さんにお届けするために研究所で日夜働く研究者に対しても、講じられています。

新型コロナウイルスとの闘いで鍵となり、また新たな道筋を考察し、開発し、創出する力を結集して未来のヘルスケアの青写真を作り、また将来のパンデミックに備える活動の鍵となるのも、対応力と連携です。